大絶滅通信WEB3
地も天も無い真っ白な世界の中にウィープ・イールだけが存在していたこともあったが、今は地があり天がありウィープ・イールの他に3人の人間がいる。名は背の高い順にミィク、イァイク、ダイナマイト・ジョーと言う。ウィープ・イールは彼ら3人には見えない。ウィープ・イールはある日寂しくなって、彼らにそれぞれ話しかけてみた。ミィクにはウィープ・イールの声は聞こえなかった。イァイクにも聞こえなかった。最後にダイナマイト・ジョーに話しかけた。
「私の声が聞こえるか?」
ダイナマイト・ジョーはあたりを見回してから、どこからか聞こえる声に返事をした。
「お前は誰だ?どこから声をかけている?」
私はウィープ・イール。ウィープ・イールがそう返事をする前に側にいたミィクが言った。
「おいダイナマイト・ジョー、なんか言ったか?」
イァイクも言った。
「お前は誰だ?って言ったな。何のことだ?」
ダイナマイト・ジョーは戸惑いながら答えた。
「どこかからお前たち以外の声が聞こえたんだ」
ウィープ・イールは少し様子を見てみることにした。ミィクが少し苛立った声で言った。
「そんな訳が無いだろ。ここには俺たち3人しかいない」
ダイナマイト・ジョーは弁解した。
「いや確かに聞こえた。『私の声が聞こえるか?』とな」
譲らないダイナマイト・ジョーにミィクはさらに苛立って彼の肩を叩いた。ダイナマイト・ジョーは叫んだ。
「痛え!何をする!」
するとイァイクが怒鳴った。
「大袈裟に騒ぐんじゃねえ!」
イァイクもダイナマイト・ジョーの肩を叩いた。ダイナマイト・ジョーはさらに叫んだ。
「やめろ!痛え!」
その様子を見てミィクはニヤニヤして、またダイナマイト・ジョーの肩を叩いた。それに続いてイァイクが、今度はダイナマイト・ジョーの顔を叩いた。ミィクも顔を叩いた。イァイクも叩いた。ダイナマイト・ジョーはついにしゃがみこんで泣いてしまった。
一部始終を見ていたウィープ・イールは薄笑いを浮かべ言った。
「面白くなってきたな」