大絶滅通信WEB1

ボーリング・キングはボーリングをすっかりやめてしまった。〈外〉でエウィーの頭蓋骨を集めるようになってからだ。彼をこのフロアで久々に見かけたパセリは驚いて食べていたアイスクリームを落としてしまった。ボーリング・キングの姿は以前の彼とはまるで違っていた。無精髭、汚れた服、すっかり輝きを失ったエナメルの靴。そしてこのフロアのプラスチックの椅子に座り、プラスチックのテーブルの上にエウィーの頭蓋骨を5つ並べ、それを何度も数えていた。パセリが前回ボーリング・キングに話しかけた時は頭蓋骨はまだ2つしか集められていないと言っていた。ずいぶん増えた。パセリはやや怯えながら話しかけた。

「ずいぶん集めたな、キング。〈外〉は怖くないのか?」

ボーリング・キングは頭蓋骨を見たまま言った。

「パセリ、この〈塔〉は怖くないのか?〈機械〉は怖くないのか?俺は怖い。」

パセリには彼の言うことがよく分からなかった。〈塔〉が怖い?〈機械〉が怖い?〈外〉よりも?エウィーよりも?何を言っているんだ?パセリが黙っているとボーリング・キングは続けた。

「あと3つだよ、あと3人エウィーを殺せば、おれはあっちにいけるんだ、もう行かなくてはな」

そう言って彼は立ち上がりこのフロアから出て行った。パセリは少し考え、もう一度アイスクリームを買いに向かった。